ランドセルの「背カン」は、肩ベルトと本体をつなぐ小さな部品ですが、背負いやすさや耐久性に大きな影響を与えます。背カンが壊れるとランドセルを背負えなくなるため、選び方のポイントを押さえておくことが大切です。この記事では、背カンの種類、特徴、壊れにくい背カンの選び方をわかりやすく解説します。
背カンとは?その役割を理解しよう
背カンは、肩ベルトをランドセル本体に固定し、肩ベルトの角度や動きを調整するパーツです。
主な役割は以下の3つ:
- 重さの分散:ランドセルの重さを肩や背中に均等に分散し、負担を軽減。
- フィット感の向上:体型に合わせて肩ベルトを調整し、背中にピッタリフィット。
- 肩ベルトの立ち上がり:肩ベルトを立体的に立ち上げ、背負いやすさをサポート。
最近のランドセルは軽量化が進み、平均重量は約1.2kg(日本鞄協会、2023年データ)。その分、背カンの設計が負担軽減に果たす役割が大きくなっています。
背カンの種類と特徴
背カンは動き方によって3種類に分類されます。それぞれの特徴をまとめました。
- 固定背カン:動きがなく、シンプルな構造。(大峽製鞄の背カンは動かない。)耐久性が高く、壊れにくいが、体型へのフィット感がやや劣る。肩ベルトが動かず、シンプルで頑丈。昔ながらのランドセルに多い。向いている子:体型が標準的で、シンプルな設計を好む場合。
- 左右非連動型:左右が別々に動く背カン。フィットちゃんせかんやウイング背カンなど。幅広い体型に対応。多くののメーカーが採用し信頼性が高い。
- 左右連動型:左右が同時に動く背カン。セイバンの背カン。体に吸い付くようなフィット感。構造がシンプルで軽量。セイバン限定で選択肢が少ない。背負いやすさを重視し、肩への負担を軽減。
左右に開く背カンを使う理由
- 背カンが開くと、ランドセルを背負いやすい。
- 子供の体格が小さくても大きくても、その子の体格に合わせて背カンが開くので、背中にピッタリしやすい。⇒ 背負って軽く感じるランドセル
左右が別々に開く背カンと左右が同時に開く背カンを比較
画像を見てください。上と下の赤枠内に2種類の背カンがあります。右側の背カンがの肩ベルトの付け根に入っています。この背カンの上にランドセルの肩ベルトが繋がります。どちらが背負い心地に優れているか。私は「差は殆ど無い」と言い切って良いと考えています。現状は90%以上のランドセルが左右別々に動く背カンを使っています。左右同時に開く背カンはセイバンとセイバンがOEMで作ったランドセルのみです。
それぞれの背カンがそれぞれのメリットを述べているので、特徴として理解しておきましょう。上が左右別々に動く背カンの代表「ウイング背カン」、下が左右同時に開く唯一の背カン、セイバンの背カンです。どちらも強度のあるプラスティックを使っています。
左右別々に動く背カン(左右非連動型)
ウイング背カン(萬勇鞄、モギカバン、キッズアミ、カバンのフジタ等)
ウイング背カンは多くのランドセルメーカーで使われている、信頼できる背カンです。
池田屋背カンするぴた
池田屋オリジナルの背カン。左右に開くだけでなく前後へも動くので肩や背中にフィットしやすい。
左右同時に動く背カン(左右連動型)
セイバンの天使のはねの背カンです。セイバンの肩ベルトの立ち上がりは、背カンではなく、肩ベルトの内部の樹脂(天使のはね)で立ち上がっているので、ウイング背カント比べて、肩ベルトがつながる部分は簡単な作りです。
ただ、この赤いプラスティックの部分は、普通のプラスティックではなく、強く柔軟性があるものです。
ランドセルの背カンが肩ベルトの立ち上がりを作っている
肩ベルトの立ち上がり(弯曲)はランドセルの背カンの機能です。一部例外はあります(*セイバンの天使のはねの弯曲は「天使のはね」という樹脂の機能です)。
この三角カンが管の中で自由に動くと肩ベルトは立ち上がりません。三角かンを自由に動かさないために、背カンのプラスティック部分には楕円形の穴が開いており、肩ベルトがつながった金属製の三角カンが通ります。
三角カンの金属と背カンのプラスティック部分の管が楕円形をしていれば、肩ベルトの動きが制限されて立ち上がることになるのです。
なぜ背カンはプラスチック製が多いの?
背カンの可動部は、ほとんどがプラスチック製です。これは以下の理由によります:
- 柔軟性と強度:高強度プラスチック(例:ポリアセタール)は、柔軟性と耐久性を兼ね備え、6年間の使用に耐える。金属製だと金属疲労で割れるリスクがある。
- 軽量性:プラスチックは金属より軽く、ランドセルの総重量を抑える。
- コスト効率:高品質なプラスチックは製造コストが抑えられ、品質を維持しやすい。
ただし、粗悪なプラスチックを使用した海外製ランドセルには注意が必要です。たとえば、金属に見せかけた薄いプラスチック製の「三角カン」(肩ベルトと背カンをつなぐ金属パーツ)が使われている場合、破損リスクが高まります。
例えば、肩ベルトに三角カンという金属があって、背カンの管の中で回転します。上の写真の三角カンは太い金属なので非常に丈夫ですが、外国製の場合、金属に見せかけた下のプラスティックの場合もあるので要注意です。
よほどランドセルに詳しい人でないと、まさかと思うような粗悪なパーツに気づかない可能性があります。このことが、日本製のランドセルをすすめる理由の一つです。
粗悪な背カンを見分けるポイント
- 三角カンの材質(プラスティックはダメ)太くて丈夫な金属製(ステンレスやアルミ合金)が理想。プラスチック製の三角カンは強度が低く、避けるべき。
- 三角カンの金属が太い
- プラスティック部分の薄い(首の)部分の厚みが2MM以上あると強度がある。(2㎜あったとしても質までは分からない。)
質の良い背カンを選ぶには
ランドセルの背カンは滅多に破損するものではありませんが、その少ないランドセル修理の中で背カンの破損が大部分を占めます。背カンの品質のチェックが重要です。以下をチェックしましょう。
実際に背負う:
背カンの動きやフィット感を店頭で試す。肩ベルトが体に沿うか、動きが滑らかかをチェック。
背負い心地の違いは? 左右非連動型 vs 左右連動型
「左右非連動型」と「左右連動型」の背負い心地に大きな差はほとんどありません。どちらも子どもの体型にフィットするよう設計されており、背負いやすさは良好です。違いは以下の点:
- 左右非連動型:独立した動きで、幅広い体型に対応。標準的で信頼性が高い。
- 左右連動型:連動した動きで、背中に吸い付くような一体感。セイバンの独自技術が光る。
破損する背カンの多くは、海外製のランドセルの背カンの可能性が高い。その海外製のランドセルに6年保証があったとしても、粗悪な背カンを使った再修理になりそうです。
海外製のランドセルを購入する前に次をチェックする。
- どんな場合に保証がきくのか
- 早急に対応してくれるのか
- 海外での修理ではないのか
背カンのプラスティック部分が破損すれば、背負おうことが出来なくなります。背カンの修理をするにしても、海の向こうの外国へ修理を依頼するのは大変ですし、どれぐらいの時間がかかるのか見当もつきません。修理の手続きから完成までの煩わしさを考えても、国産が良いのではないでしょうか。
まとめ:背カン選びで快適な登校を
背カンはランドセルの「縁の下の力持ち」。壊れにくく、背負いやすい背カンを選ぶことで、子どもの6年間の登校が快適になります。ポイントは、信頼できるメーカーの高強度プラスチック製背カンを選び、試着でフィット感を確認すること。国産ランドセルなら、修理対応も迅速で安心です。ランドセル選びの際は、ぜひ背カンにも注目してみてください!